私が転職したブラック企業では創業70年以上経っているにも関わらず中堅社員がおらず脂ののった40代、50代の社員が皆無だった。
一般的にブラック企業と呼ばれる会社の特徴として若年層が非常に多いということがあげられているが、私が転職したブラック企業もそれしかり、若年率がとても高い企業だった。
こと配送部に関してはほとんどが20代の社員。30代の社員は営業三部が解体し、後に物流にうつった松堀くらいしかいないのではないかと思う。
企業年数が70年もあれば、40代50代の社員が多いのが一般的であると思うのだが、私が転職したブラック企業では40代50代の社員はほぼいなかった。
先にあげた「ぺっぺ」、それに創業者一族の息子、クラッシャー上司パワハラおじさん、白髪のクラッシャー上司スネーク(へび)、それに話には出てきていないが、キャバクラ大好きおじさん、社長と副社長シゲキをのぞいて私が転職したブラック企業には40代以上がいなかった。
これはどういうことなのだろうと誰もが思う。それはある事件が関与していた。
どうやら、一時期、恐ろしい事にブラック企業のあまりにも過酷な労働環境に嫌気がさし、全社員が一斉に辞めてしまった時期があるという。つまり全社員層替えの時があった。
その当時の話を語れる社員はおらず、私が副社長シゲキにきいた話になってしまうが、当時は社長と副社長シゲキがちょうど会社を継いだ時期と重なり、会社をよくしていこうと必死に頑張っていた時だったという。
だから、仕事をさぼっている社員や仕事ができない社員に対して激しく叱責し、怒鳴り散らし、暴力を振るい「お前なんか、辞めちまえ!」という言葉が連日社内で飛び交っている時期があったのだという。
シゲキはシゲキで、いくら頑張って仕事をしたところで利益もあがらない。一体何の為に仕事をしているんだ・・・という思いが重なり非常にストレスがたまっていたようだ。そのせいでシゲキも自ずと社員に対して厳しくなる。
「おまえらちゃんと仕事してんのか!」「なにさぼってるんだよ!」
そんな時に、激しく社員に対し当たり散らすものだから、社員の中でも徐々に会社への不満がたまっていった。そして社員は会社に対して報復の為にある計画を企てる。それは全社員が出社しないことだった。要するにストライキ。そう、溜まりにたまった社員の不満は、時を得てストライキという事件に発展した。
そして間もなくして、全社員がやめていった。
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